2008年6月13日金曜日

Portaphileの修理

先日のオヴァQの集いで、その中の一人からPortaphileの音が
おかしいので中を開けたら、スイッチが取れてしまっていました。
修理して貰えませんか?と依頼を受けてしまったので、
早速中をバラして確認してみましたよ、
と言うお話を今日はしてみたいと思います。




※Portaphileは以前も載せた通り、非常に濃いアンプなのですが
詳しくは後述するとしてまず中身をどうぞ。






基板はとてもシンプルです。
ご覧の通り、基板に付いていなければいけない
スイッチが見事に取れてしまっています。
よく見ると、上のディップスイッチの基板も浮いているような。。('A`)


電解コンデンサは今はもう生産中止となった
RubyConのブラックゲートBG-NX10V1500uF×2。






拡大写真。
うへぇ。見事にスイッチが取れてますね^^;
案の定、上のスイッチもずれています。
しかしどうやったらこれ、取れるんでしょうか?
もともとはんだ付け不良を起こしていたとしか考えられないような。

他にもダイオードとチップ抵抗も見えます。






基板裏面。
AD8610を音声増幅段に使い、BUF634をバッファに当てています。
分圧はLT1210CS+AD8610+BUF634。
お預かりしてそのまま返しちゃうのもアレなのでw
せっかくですから、回路も解析してみました。

少し詳しい方なら、ご覧いただくだけで
すぐ分かるかと思われますが、オペアンプ+BUF634の回路と言うのは
非常にシンプルで作りやすいです。

ポータブル用の小型アンプの場合、
バッファをトランジスタで組む方が実は面倒+難しく、
初心者はPNPとNPN、それとECBを間違えやすいので実はあまりオススメは出来ません。

A47のヘッドフォンアンプもそうですが、
比較的小型~超小型を目指す場合、
オペアンプは外せません。

006Pの9V電池1個でタバコサイズ(ショートホープくらい)くらいで
小型化する場合、トランジスタでやる場合ですと、
恐ろしく根気が要りますからね。
(※現在挑戦中ですw)

それに、能率の良いイヤーフォンなら、
オペアンプ+BUF634で十分過ぎるくらい鳴ってくれますから
後は電源をどうするかですね。


ただ、このPortaphile、自作で真似をするとなると、
お金が結構かかってしまうのが難点。
ICだけで余裕で1万超えですからね。
トータル部品代(ケースも込み)だけで、だいたい2万位と言った所。
手作りの手間賃+今はもう手に入らないBlackgateを合わせると
なかなかお買い得なのかな?

(ちなみにそこそこ大きいサイズなら
トランジスタバッファの方が安上がりで音も良いですし、
良い勉強になります)



続いて例のDIPスイッチの説明でも。

・Portaphile V2^2 FAQ

ポータブルヘッドホンアンプまとめサイト@Wikiより。


DIP SWITCH BANK 1: (Left in Picture)
4–RIGHT CHANNEL GAIN:

ON = Low Gain(2.5)
OFF = High Gain(7.0)
3–GROUND CHANNEL BIASING:

ON = Class A Biasing ON (effect 1.1ma)
OFF = Class A Biasing OFF
2–WIDE BANDWIDTH – ALL BUFFERS (up to six total) – effect ~25ma w/6:

ON = Wide Bandwidth Mode ON
OFF = Wide Bandwidth OFF
1–RIGHT CHANNEL CLASS A BIASING:

ON = Class A Biasing ON (effect 1.1ma)
OFF = Class A Biasing OFF


DIP SWITCH BANK 2: (Right in Picture)
4–LEFT CHANNEL GAIN:

ON = Low Gain(2.5)
OFF = High Gain(7.0)
3–NO CONNECTION / NO FUNCTION

2–POWER LED:

ON = Power LED ON
OFF = Power LED OFF
1–LEFT CHANNEL CLASS A BIASING:

ON = Class A Biasing ON (effect 1.1ma)
OFF = Class A biasing off.


このようになっています。
詳細ははしょっちゃいますが、よーするにスイッチを全部ONにすると
音が凄くこってりして、ぱわーうpするよっ!
やってみて!と言う事ですねw

全てONにすると、電池がノーマルの充電電池だと
1時間半~2時間くらいしか持たなくなるので
リチウムを使って、と書いてあります。
こう考えると、据え置きのアンプと言うのは
電源を無尽蔵に取れるのと、ケースのスペースも
余裕を持って作れますから、どう考えても有利ですよね。

携帯性を考えなければ
ポータブルでも凄いものが作れるのでしょうけれど、
それはもはやポータブルとは言いませんですしw










はい。という訳で完成です。作業時間は
そうですね・・・はんだこてを暖める時間を入れても
トータルで20分くらい。
慣れている人ならもっと早いと思います。

スイッチの3番の部分がはんだ付けされてないじゃないの?と
思われた方は上のスイッチの説明を見ればお分かりになる通り、
NO CONNECTION / NO FUNCTIONですので、繋がっていなくてもOKです。

お預かりした次の日にはもうお返ししてしまったので
現在は手元にありませんが、たぶんばっちり動いているはず。
次回お会いした際、

『謝礼はYou,体で払っちゃいなYo!』

とかは言いませんのでご安心下さいw
僕の修理代は高いですよ?フフフ( ̄ー+ ̄)







追伸:価格COMの掲示板、ヘッドフォンカテゴリの常連の方から
(たぶん名前を書けば、ご存知の方も多いかと思います)
僕を誹謗中傷するメールが来ていたんですが、
どなたかと勘違いされているようなので、書いておきますが、
僕は価格COMで書き込みをした事はありませんし、
IDも持っておりません。

『僕の名を騙って書いている輩がいれば教えてください』
と返信したものの、返事が無いのでこちらに書いておきました。
見てましたらヨロシクねw


と言う感じで今日もこの辺で。